世界の果て 1

ガシン…ガシン…
異様な鋼鉄の大蜘蛛が砂漠を横断する。
蜘蛛の脚が砂をとらえ、大きな穴をあける。

「暑い……」
戦車兵は呟いた。
まだ少年のようなあどけない顔をしているが、
目元には深い皴が刻まれている。
右眼の傷を隠すために巻いている眼帯から汗が流れた。
戦車兵斯波(しば)一郎臨時少尉の任務は未確認魔造兵器の駆逐だったが、
斯波にはこのデカい蜘蛛の玩具の試験運用であることがわかっていた。

斯波にはこの作戦で手柄を立てて、前線にたちたい理由があったのだが、
後方での戦闘も砂漠の暑さも前を飛ぶ哨戒機にもイライラを募らせた。

「HQよりローズ1 状況を報告せよ」
「こちら ローズ1 交戦の跡あり。このあたりのようです」

人型二足歩行ロボット「F-14ストライクイーグル」のパイロットがこたえる。
AIか有人か判別できないが声は女性だ。

「HQよりスパイダー 敵は見えるか」
「キメラ級が(2,3,4) 4 射撃許可求む」
「許可する。ローズ1サポートせよ」

蜘蛛の眼のあたりから砲門が伸びる。
重力と弾道計算はAIが勝手に行う。寸分たがわぬ起動だったが
ハエ型魔造兵器キマイラは戦車砲の熱源を感知して避けてしまった。