ユングのタイプ(類型)4 感覚

2.四つの心理機能

(3)感覚

感覚機能は生理的刺激を知覚に仲介する機能である。外向的感覚型は現実的な快を追及する一方で、外界からの刺激そのものよりも、それをどう受け止めたかという内的な強度が大きい要素となっている。これを説明する一例は、生徒全員が同じモチーフを写生したとき、生徒によって異なる作品になることがあげられる。

外向的感覚型のひとはリアリストである。客観的事実を、そのままうけとる。思考や感情機能が伴わない場合は、適当な場所で仲間と飲みにいったりして適当に楽しめる人である。低級化すると、快楽主義者となり、異性を感覚を楽しませる対象としてしか認めなくなる。洗練化すると、上品な耽美主義者となる。感情機能と結びついて、音楽や絵画の才能に長じたり、思考機能と結びついて、的確にして膨大な資料の蓄積を得意とする学者を生み出すことになる。生理的欲求、実生活を円滑にするためには必要な機能であるが、あまりに感覚機能に偏るときは、やはり抑圧された未分化の直観の被害を被る。例えば、我々は、こういった現実的な人が、根拠のない迷信にとらわれている様子を見出すことができる。

内向的感覚型のひとは内向的直観型の人とともに、現代では外界への適応に非常に困難を感じていると考えられ、非常に生きづらいと思われる。内向的感覚型のひとは外界からの刺激そのものよりは、それによって引き起こされる主観の強度を頼りとしているので、この人の外から見た行動は不可解に見える場合が多い。例えば、きれいな花畑が燃え上がる火にみえたり、小さい一つの目に広い海の深淵を覗いたりする。そしてこれらの内向的直観型のひとは適切に、表現することが難しいので、一般には他人に従っている、あるいは他人の支配下にいることが多い。自分の内部世界を表現する創造性をもつときはシャガールのように偉大な芸術家として才能を開花させる。シャガールは空想の世界を描いているというのを嫌って、「私は現実の世界、内的現実(inner reality)を描いているのだ」と答えたという。

ユングのタイプ(類型)3 感情

2.四つの心理機能

(2)感情

感情機能は与えられた内容(会話や外的情報)について、受け入れるか拒否するかを一定の価値を付ける機能である。物事を判断する機能だが、思考機能が概念的なつながりを与えようとするのに対して、感情機能は好き・嫌い、快・不快とか主観的に行われるもので、知的判断からは区別される。

河合隼雄氏によると、外向的感情型のひとは、自分の気持ちに従ってそのまま生きて、それは環境の要求とよく一致する(皆が”よい”と思うことは自分も”よい”)ので、スムースに行動ができるという。思考型は男性に多く、感情は女性に多い(とユングは言っている)が、このような外向的感情型の女性はパーティーの華になる。初対面のひとに好感を与え、”適当な”関係を築くセールスマンなどの営業職に才能を発揮する。その一方で、客体(他人)に意識が過剰に行き過ぎると、他人に気を使いすぎて、主体性を失い、魅力的な個性を失う。他人に気に入られようとする努力が、空しく感じて、やりきれなくなり、内在する抑圧された未分化の思考機能によって、豊かな社会性と魅力的な自身の個性を”価値のないもの”として引き下げ、パーティ等で抑圧された浅薄な思考で討論を開始し、社交的な魅力を失うことになる。

内向的感情型の人は外から見ると控えめで、不親切、無感動にみられる人が、深い同情や細やかな感情を持っていることがある。正しいと思って下した不適当な判断によって自ら苦しまなくてはならない。河合氏は例として、友人の新調の服を似合わないと感じたとき、なんといっていいかわからなくなることをあげている。このタイプの人は高い宗教性や芸術性を示すこともあるが、客体との関係があまりにもなくなると、自分の感情判断を通す、すなわちわがままを通すために、時に残忍になる。他人に伝えられぬ、自分の内的な感情は子どもへ投影されることも多く、行き場を失った母親の情熱はすべてこどもへ、吹き込まれ、子どもが成長し、独立することを非常に困難にするように阻害する。かくしてこのような”愛情深い”母親に育てられた問題児が出来上がる。また、自分の気持ちの表現が下手なことと、劣等機能である思考機能が未分化であるために他人が自分のことをどう思っているか思い悩み、ノイローゼになり、内面的な戦いに疲弊して、神経症になる人もいる。このような人も、自分の感情を表現し、伝えられるグループがあると、そのなかでは暖かい親切な人として、不変の友情を楽しむことができると、河合氏は述べる。

ユングのタイプ(類型)2 思考

2. 4つの心理機能

前回述べた、内向、外向とは別に、すべての人はおのおの最も得意とする心理機能を持っているとユングは考えた。心理機能は4つあって、それぞれ、思考(thinking)、 感情(feeeling)、感覚(sensation)、直観(intuition)としてユングは考えた。これら機能はすべての人に備わっているものだが、ある個人が4つのうちどの機能に頼ることが多いかによって、その人が思考型とか感情型であると考える。

この4種に前回述べた一般的態度、すなわち内向、外向が結びつくので、繰り返しになるが、8つの基本タイプ(類型)が出来上がる。

一般には、すべての中間に属する人が多いとユングは考えている。

冒頭の図に示した通り、思考と感情、直観と感覚は対立関係にあり、一方が発達していると、逆方向は未発達である。思考と感情は合理機能(rational function)、感覚と直観は非合理機能(irrational function)という。非合理とは、理性に反している意味ではなく、理性の外にあるという意味である。

(1)思考

ユングは思考を固有の(自分の)法則に従って、与えられた対象に概念的なつながりをもたらす心理機能であると述べている。思考は感覚として知覚される外的な事実や、心の内部の無意識的主観的なもの依存しているが、前者の(外的な事実に依存)場合、外向的思考型であり、後者の(内部の主観的なものに依存)している場合、内向的思考型であるとしている。客観的なソース(根拠)重視が外向的思考型であり、新しい独創的な考えよりも、よい組織、社会に役立つ理論を生成したりするが、わかりきったことを何回もしゃべったり、ほかの人も自分と同じように考えていると決め込んで、一つの型にはめ込もうとするような人になる。この型の人は感情を抑圧している人で、芸術や趣味、友達付き合いなどを軽視する。抑圧しがたくなったばあいも自分の思考の図式にそれを取り入れようとしていることが容易に認められる場合が多い。

内向的思考型のひとは、新しい「事実」についての知識よりは、新しい「見解」を重視する。「独創的な体系」を作り上げるが、ひとによっては伝達不能なひとりよがりに堕してしまうこともある。この伝達不能のフラストレーションが未発達な感情反応と結合して異常に破壊的、攻撃的考えや、行動となって表れる場合もある。感情反応が攻撃的な物にならない場合、素朴な無邪気さやおっちょこちょいといった態度になる。この種の人の考えの深さは尊敬を得たり、強い感化を及ぼすことになるが、一般にはよい教師にはなりえない。教えることそのものに興味を持っていないことが多いためである。

 

 

ユングのタイプ(類型)1 内向と外向

ここではユングのタイプ論について述べる。タイプとはすなわち、クレッチマーが外見でその人間の特性を分けたようなものである。

このタイプは在日だからとか黒人だからとかという単純なレッテル貼りではない。また、乙女座やAB型の今日の運勢とは全く異なることを先に明記しておく。

タイプを分けることは、ある個人の人格に接近するための方向付けを与える座標軸の設定であり、個人を分類するための分類箱を設定するものではないことを強調したい。 ユング心理学入門 河合隼雄

ユングのタイプは大雑把に言うと8種類に分けられる。

まず一般的態度として内向外向の2つにわけられ、さらに、心理機能として、思考感情感覚直観の4つにわけられる。内向的思考型、外交的直観型のように、内向、外向に対して4つずつ心理機能で分けられるので、全体のタイプは8種類になる。

1.内向と外向

内向と外向は、多くの人のイメージ通り、陰気か陽気、社交的かそうでないかである。

外向的な人はコミュニケーション能力に秀でており、社会に溶け込みやすい特性を持つが、その根拠は適当な考えと行動によるものなので、考えが皮相的になるものが多く、ほかの人のつながりがあるから、自信をもつが、外的障害に対してもろさを持つことがある。

一方、内向的な人は過度に自己批判的で、自信なさそうにみえる。実際に自信のない人が多い。友人を作りにくく、社会適応が困難である。いったん思い込むと少々の障害にはたじろがない傾向があるが、パーソナルスペース(自分の領域)以外では、とかく周りの人とうまくゆかず、内的充足のみに心がけ、外部に伝えることに無関心である人もいる。

この2つの一般的態度は、多くの人間は両方の態度を共に持ち合わせているが、大体は一方の態度が習慣的に表れるため、類別することは容易である。外部環境によって、内向の人が外向に矯正されると、神経症的な症状に悩む事例がある。

一般に外向的な人が社交的で適応がよい(ノリがよい)等の高評価を得る一方で、内向的な人は、社会不適応者だとか病的、自閉的だとか、自己中心的のレッテルを貼られることが多い。

ユングの心理学では相補性が重要なキーワードである。こころは片一方の尖った性質を補うかのように、反対方向の影をもつということである。

外向型のおばちゃん、またはお母さんの急なヒステリー症状は、外向的な一面性の反作用として、肉体的な障害という手段を用いて、外へ向きすぎた心的エネルギーを無理にうちに向けようとするから、内向的な性質を帯びた妄想や他を考慮しない自己中心的な態度をとるようになるとユングは考えている。

内向型の人は、外界の関係を断ち切り、外の人間の価値を低く見積もろうとすればするほど、無意識的に外の社会の虜になってしまう。その内的な相克の戦闘で疲弊し、消耗して、鬱などの神経症にかかってしまう。この病気の特徴は、一面では異常な神経過敏と、他方の非常な疲れやすさによる肉体的な動きの鈍さとして現れる。

次は、4つの心理機能について述べるが、私がユング心理学を全面的に信用しているわけではないことをここで明示しておく。

疑わしいのは無意識の行動と夢分析である。無意識はあると思うが、ある人が財布を忘れたことと、鍵をかけ忘れたことは無意識の表れであるとか、言い間違って本心(無意識)が出た。という事象については、結果論で何とでもいえる。夢分析も同様である。治療者や分析者の後付けの説明でなるほどと納得することはあっても、財布やカギのかけ忘れや失言の損失には変わりない。