新薬のレキサルティが僕の啓蒙を増やす。
レキサルティは幻覚・妄想状態、鬱状態を改善するものだ。
その有難い新薬のおかげで周りが見えてきた。
まず、僕は電車の前方車両にいる変なおじさんにすぎないということだ。
前方車両にいる変なおじさんは奇異な目で見られるだけで、希望や夢を持ったりしない。
次にわかったことは僕は病人にすぎないということだ。病院にいる人間は愛だの恋だのに悩んでいる暇はない。
職場で上司に手をあげるのがナースコールを押す病人みたいだ。今日は誰とも話したくなかった。
病状はよくなっているのか悪くなっているのか分からない。